kiyoshi-sawano’s blog

沢野清です。 趣味はラクガキです。コントーション(軟体芸)的なものをよく描いてます。

なんというマニアックな小説! 『函館水上警察』(著/高城 高)

函館水上警察

函館水上警察

Amazonにはこんな紹介文が載ってます。
『内容(「BOOK」データベースより)
「明治二十四年の函館に発足した、小さな警察署。ロシアやイギリスなどの船舶が来航するというこの土地特有の事情に対応するため、署には外国語に堪能なものが集められ、小蒸気と端艇を有していた。個性豊かな署員たちを指揮するのは、アメリカ放浪経験をもつフェンシングの名手・五五条文也警部。ラッコ密猟船の水夫長変死事件や、英国軍艦の水兵の切ない失踪事件などを解決するため、署員たちは日夜陸と海を駆ける―。完全復活を遂げた著者が放つ、珠玉の時代警察小説。若き日の森林太郎(鴎外)の知られざる函館訪問記「坂の上の対話」を併録。』
 ちょっと読み始めると、「鬼平犯科帳」などの時代小説の亜流っぽいのですが(確かに基本線はそこら辺だと思います)、実は「ホーンブロワー」好きの私にとっては、感涙ものの「海洋冒険小説」でありました。ラッコ密漁船が実はイギリス海軍払い下げの元帆走砲艦だったり(美しい図面付き!)、賭博のガサ入れのために千石船にボートで乗り付けて切り込んだり、詳細に船や港町の描写をしていたり・・・(ちなみに主人公の五条の特技はフェンシングではなく「サーベル」です)。特に、戦時下でなく犯罪がらみの話が多い『海軍提督ホーンブロワー』と似た雰囲気があると思います。ぜひシリーズ化して欲しいですね!