『虐殺器官』読了

虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

　刊行当初から気になっていた本なのですが、「ＳＦが読みたい！２００８年版」の国内篇１位になってしまい、今頃読むことになりました（へそ曲がりなもんで）。
　伊藤計劃氏はこれが初単行本とのことですが、文体・構成ともに恐ろしく手馴れた感じで、さすが評価が高いと思いました。主人公は米軍の特殊部隊の隊員で、扱っているモチーフが近未来軍事サスペンスではあるのですが、しっかりとした文明批評を背景にした（インパクトある書名に負けないほどの）グロテスクな世界観は、まさにＳＦそのものでした。ジョー・ホールドマンの『終りなき平和』と似たテーマとモチーフで、ラストが正反対になっているのも、興味深いです。伊藤氏の最近作は、メタルギア・ソリッドのノベライズだそうですが、持ち味は出ているんでしょうか？

METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS