kiyoshi-sawano’s blog

沢野清です。 趣味はラクガキです。コントーション(軟体芸)的なものをよく描いてます。

程良い渋さ

コップクラフト 3 (ガガガ文庫)

コップクラフト 3 (ガガガ文庫)

 本作の属する「コップクラフト」シリーズは、一口で言うと「魔法が存在する世界と超空間ゲートで結合した海域に面した都市を舞台に、異世界から来た美少女(外見は)魔法騎士と軍隊上がりのベテラン刑事の二人組による犯罪捜査を描いた作品」であります。基本は警察ドラマで、そこにファンタジー的な要素を加えている印象です。賀東招二氏はかなり上手く海外の警察ドラマ的世界を文章化していて、そこに異世界の要素を外挿し、そのことによる世界の変貌を細かく描いていて、ある意味SF的でもあります(私は何故かロバート・チャールズ ウィルスンの「無限記憶」の舞台を連想してしまいました )。
 主人公のベテラン刑事が完全に大人のオッサンなのも、同じオッサンとして感情移入しやすいですねw!村田蓮爾氏のイラストが実に作品にあっているもの素晴らしいです。村田氏の作品には、美少女と年上(概ね成人に見える)男性が一緒に描かれているものが多いですが、本作はまさにそういう状況が物語られているわけで、非常に親和性が高いのも当然といえましょう。
 シリーズ3作目の本作は、ファンタジー要素は比較的控えめな分、ヒロインの心理の掘り下げやテーマの深刻さが際立っており、また作品とイラストの相互補完も著しくて、実に良かったです。